A:合気道をはじめるには、柔道着か空手着を用意していただければ稽古は始められます。ですが、いきなり道着を購入するのではなく、見学からはじめてください。
また、合気道旭川道場では土曜日の稽古に杖・剣も行っておりますので、本格的に合気道を始められる方は購入の必要があります。道着などは、旭川市内の武道具店で購入することができます。
Q:習い事として合気道を考えていますが、初心者でも出来るでしょうか?
A:旭川道場で教授している合気道は、年齢や性別、運動に自信のない方でも気軽に始められます。したがって、旭川における女性の習いごと、子供の習いごと、シニアの習いごとの選択肢の1つになります。
とはいえ、運動系、しかも武道ともなれば、運動に自信のない女性やシニアの習いごととしては多少の不安もあるでしょう。しかし、旭川道場において、3つの理由から何ら心配はございません。
安心な理由の1つ目は、入門者(初心者)の稽古法にあります。それは、受身と型稽古からはじめるプログラムを用いているからです。したがって、恐怖感や危険な思いをすることもありません。
2つ目は、指導員を配置し、一人ひとりの運動能力や合気道の熟達度に応じて指導しているからです。旭川道場創立以来、大きな怪我や事故が1つも無い事実は、このことを裏付けています。
3つ目は、個々人の体調や体力に応じて、いつでも休憩を入れながら稽古に参加して良いルールにしているからです。集中力を要する武道ゆえに、適度な休憩によって心身を安定化させることも修練の1つです。
以上の通り、旭川で武道をはじめるにあたって、合気道旭川道場における稽古法は、女性の習いごと、子供の習いごと、シニアの習いごとにおいても無理なくはじめられます。
A:現在、旭川市内で「合気道」という名称を用いて活動している団体・サークルはいくつかあるようですが、旭川道場とは関係ありませんのでご注意ください。
意外に思われるかもしれませんが、旭川市内には(公財)合気会(以下、合気会と略す)から公認されていない道場だけでなく、どこの組織団体にも属していないサークルや会、合気道に近似する武道(主に大東流)ですら「合気道」の名称を使用して宣伝しています。それゆえに、これから合気道をはじめてみたい方にとって、紛らわしいのも事実でしょう。
武芸・芸道の世界(合気道・剣道・柔道・空手道・茶道・華道など)では、大なり小なり組織化されています。いうまでもありませんが、全国規模で組織化されている団体は、歴史と技術に裏付けられた経験によって信頼性かつ妥当性のある規則や審査基準が設けられており、既に社会的信頼性を得ています。
このことから、武芸・芸道を習う際には、組織化された団体の公認道場を選択することが安心と信頼の一番の目安になります。
合気道旭川道場は、合気道の開祖(創始者)植芝盛平翁が創設し、いまや世界130カ国・国内約2400の道場・団体が加盟している合気会から正式に公認されている、旭川市内では唯一の合気道場です。ちなみに、米国の俳優スティーブン・セガール氏(暴走特急などの暴走シリーズ・沈黙シリーズ他)も合気会で修練した人物で、映画の中で合気道の技を度々目にすることができます。
最後に、合気会公認・合気道旭川道場ならではの入会メリットを3つお伝えいたします。
1つは、合気会主催、北海道合気道連盟主催による「講習会」の受講、「演武大会」に参加・出場することができます。
北海道の連盟では、合気会・本部道場師範をお招きした講習会を年に2回程開催しています。講習会は、本部道場師範から直接指導を受ける機会になるだけでなく、各道場生との稽古・交流を通じた学びの機会にもなります。加えて、演武大会への参加は、たとえ出場しない場合であっても、見取り稽古によって合気道を上達させる良い機会になります。
2つは、合気道のデファクトスタンダードである合気会の段級位を取得することができます。
せっかく合気道を楽しむのですから、「合気道は特技の1つです」と履歴書にも記載できる客観的な証明(世界に通ずる合気会の段級位)を手に入れることをお勧めします。
3つは、老若男女問わず、自分の体力に合わせながら楽しく愉快に合気道を学ぶことができます。
合気道は武道ですので、一瞬にして相手を制する厳しい技法も多々あります。特に日常起こり得る危機からの回避・離脱法(護身術)や乱取り稽古等では、男性でも緊張して動けなくなってしまう人もいます。それゆえに、旭川道場では、一人ひとりのレベルに応じて楽しく丁寧に指導しています。武道未経験の女性でも、恐怖心に打ち勝ち、いつの間にか自然に技を繰り出せるようになります。
また、他道場の方達からも「本当に皆、仲が良いし楽しそうだね」という言葉も度々頂戴するほど、楽しく合気道を稽古している数少ない道場です。
なお、兼平師範から出入り禁止処分(事実上の破門)を受けた元道生が旭川道場に似た会名の合気サークルを立ち上げ、合気道を含む他武道・他道場への誹謗中傷をWebサイトおよびSNS上で繰り返しているようです。そのため、勘違いされた道場関係者から「大変迷惑している」「名誉毀損だ」等の苦情・報告をいくつかいただいておりますが、旭川道場とは一切関係ございませんので、お手数でも当該サークルへ直接ご連絡願います。
Q:旭川市内には、(公財)合気会からの「公認道場」以外に「登録道場」があります。何が、どのように違うのでしょうか。その違いを教えてください?
A: 2023年4月現在、旭川市内には合気道と称するサークルや会、合気道と称する他武道、合気道登録道場など混在している状況です。その中で、旭川市内で唯一、合気道の本流である(公財)合気会に公認されている道場が合気道旭川道場になります。
(公財)合気会では、「公認道場」と「登録道場」の2つに区分けしています。
「公認道場」の認定を得るには、「登録道場」が一定要件を充たしていることを申請し、(公財)合気会登録・公認委員会の諮問を経なければなりません。
「公認道場」の要件は5つありますが、たとえば、①合気道の普及並びに振興の核となるに相応しくかつ他の模範となる道場、②その道場が3年以上順調に活動を続けていること、③その道場は原則として活動する都道府県の連盟に加盟していること、などとなっております。
また、①道場および団体の歴史、②合気道の指導の考え方、③合気道の普及振興の具体的な活動、④合気道の次世代発展のための考え方(人材育成)、⑤会員の募集方法という5つの視点から「公認道場」に相応しいか否かが精査されます。加えて、「過去にセクハラや傷害事件などを起こしていないか」「危機管理は十分に行われているか」などが問われ、「登録道場」以上に厳格な基準が設けられています。
なお、旭川道場においては、2013年4月に(公財)合気会の「公認道場」として認定され(「旭川道場特色」をご覧ください)、現在においても「公認道場」として地域社会における合気道の普及振興活動を実施(詳細は、「旭川道場の広場」をご覧ください)しています。
Q:合気道を習いながら他の武道を習っても大丈夫でしょうか?
A:合気道系以外の武道であれば可能です。ただし、どのような武道についても同じことが言えますが、まずは1つの武道を根気よく続けることをお薦めします。
また、合気道と近似している武道(大東流・合気会以外の合気道など)は、理念の相違から合気道と並行して稽古することを原則禁止しています。
つまり、合気会の根底に流れる理念(キーワード:和合の精神、協調、心・氣・体、慈悲など)は、合気道と近似する武術の理念とは全く別物です。理念が違えば、技自体は似ていても非なるのが当然です。元来、武術はトドメを刺すものですが、敵であっても許し活かして行く(開祖の信念)のが合気の道です。
他武道に興味をお持ちの方は、旭川道場に入会する前に、合気道を習う目的など、よくご検討いただくことをお勧めいたします。
Q:合気道は段位によって覚える技が違うのでしょうか?
A:当然に違います。同じ徒手技1つとっても、修練する年数が違うため別物のように違う場合があります。段位毎の違いについては、(公財)合気会の「審査要項」にしたがって簡単に解説いたします。
初段:5級~1級までの徒手技の全てが審査対象となります。つまり、合気道の徒手技の基本をマスターしたレベルといえます。
弐段:初段審査内容(徒手技)に短刀取・二人掛が加えられます。加えて、合気道に関する感想文の提出が求められます。つまり、弐段は、初段以上に洗練された徒手技と短刀取および二人掛の技法をマスターしたレベルといえます。また、弐段から感想文の提出が加えられていますので、合気道の心・気・体を別な角度から審査されているといえます。
参段:弐段審査内容(徒手技・短刀取・二人掛)に太刀取・杖取・多人数掛が加えられます。加えて、感想文の提出が求められます。つまり、参段は、弐段以上に洗練された徒手技・短刀取・二人掛に加え、太刀取・杖取・多人数掛の技法をマスターしたレベルといえます。なかでも、武器技と多人数掛の加わる参段は、1対1の競技色の強い他武道との違いが鮮明に表れる階級でもあります。また、弐段同様、感想文によって合気道の心・気・体を別な角度から審査されているといえます。
四段:参段内容に基づいて、自由技と小論文が加わります。つまり、本段位は合気道の基礎・基本・応用をマスターし、合気道の心・気・体に基づいて自由に合気道ができるレベルといえます。それゆえに、(公財)合気会では四段以上の者を指導員と定めており、また、四段以上の者が道場長であることが公認道場の要件の1つとして定めています。
なお、四段より上の段位は推薦のみとなります。その意味で、四段は実力で取得可能な最高峯の段位であり、将来、(公財)合気会の公認道場を開設したい者の登竜門でもあります。
Q:道場のメールマガジンやブログあるいはSNSがあれば教えてください。
A:現在、合気道旭川道場ではメールマガジン・ブログ等のSNSは実施していません。なぜなら、「合気道旭川道場公式Webサイト」だけで十分と考えているからです。
おかげさまで、公式Webサイトを訪れてくれたアメリカ・ドイツ・オーストラリア・ベルギーなどの海外の合気道愛好家からお問合せをいただき、一緒に稽古することもあります。
海外の合気道愛好家との交流は、技術の向上・情報交換の機会になっており大変有意義です。世界の合気道愛好家とご縁をいただけるのも、旭川道場が合気会の公認道場だからなのです。
A:はい、あります。それは「合気道をはじめてみたい」と思った時です。合気道旭川道場には入門可能年齢に達した中学生の女性から60歳代と、性別を問わず幅広い年代の方が稽古しております。
道場によっては、少年の部、女性の部、有段者・初心者の部など、クラスを分けている道場もありますが、合気道旭川道場はあえて分けておりません。クラスを分けなくても一緒に稽古ができる理由は、初代道場長の哲学にあります。それは、「合気道の極意は基本の中にある」という考え方です。合気道旭川道場では、初代道場長の考え方を承継し、道場生が段階的に修得できるように、基本を中心としたプログラムを取り入れています。そのため、初心者の方や女性をはじめ、中学生から年配者まで、先輩たちと一緒になって無理なく稽古ができる特徴があります。
A:合気道が上手くなるか否かは、その人の努力が第一です。しかし、合気道の上達や継続性を考えると、よい道場長に巡り合うことも重要な要素になります。
俗に言うかたい稽古法を中心にした道場、受け(相手)を激しく投げ飛ばす道場もありますが、それは道場長の考え方に依拠しています。一見すると「かたい稽古法や激しい稽古法の方が実戦的だ」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。初代道場長は「諸手など、手をかたく持たせる稽古法などは一つの術的鍛錬法である」と説き、そう解釈するほうが妥当といえるでしょう。実戦を真に想定するならば、まずその心構えから学ぶ必要があります。
初代道場長は「合気道の上達を目指すには、開祖盛平翁の目指した合気道の心と技から離れてはいけない」と常々口にしていました。つまり、開祖盛平翁の合気道を目指す初代道場長の教えに基づく稽古法を守り、何度もやり抜くことが合気道上達の一番の近道といえるでしょう。自身より下の者に対して、知識をひけらかすだけなら、文献をあさり書誌学的研究だけで十分できます。
武道をはじめ、スポーツや芸の世界においては、どうしても乗り越えられない壁があります。それは、セオリーと実践の隔たりです。
書物や観戦などで、やり方やルールを知ることは誰にでもできます。しかし、人に教えるまでになる為には、その道の経験と稽古を通じた時間的要素(内省期間、合気道観を媒介とした人間社会での相互関係を通じた心理養成等)がとても重要になります。
つまり、頭で理解していることと実際にできることには違いがあり、さらに人に教示するまでになるには長い年月を要するものなのです。それゆえ、合気道を上達させるには、その道のプロである道場長から心と技を共に学ぶ姿勢が重要です。
武道における文献研究(含動画)はあくまでも情報収集と知識の習得・整理と心得ておき、合気道旭川道場内での稽古では道場長や指導員の教えを素直に実践してみてください。きっと、言語化できない「大切な、何か」を発見できることでしょう。
最後になりますが、初代道場長の前職業は軍人であり、戦場での厳しさを想定した過酷な訓練をはじめ、銃剣道および空手道の経験を積んできている師範であります。
初代道場長は、開祖植芝盛平翁の高弟大澤喜三郎師範に師事し(換言すれば、開祖の孫弟子と言えます)、防衛庁演武大会の受賞をはじめ、北海道合気道連盟の会長を歴任するなど、合気道実績は証明済みです。
二代目である現道場長においては、幼少の頃より武道と共に歩む人生であり、他武道(剣道・空手道・柔道・居合道他)の経験を活かした実践的な合気道を教授しています。なかでも、大正・昭和初期の合気道史実等を中心とした科学的知見から導き出す実践的な合気技法の再現、合気道の技法・哲理を現代社会で応用するための研究開発に生涯をささげています。
このような歴代道場長だからこそ、どんな人にでも怪我なく無理なく、また、楽しませながら合気道を上達できるように導くことができるのです。
合気道をはじめてみたい方は、どうぞご安心して合気道旭川道場の入門をご検討ください。
一方、吾勝とは「自己に勝つことであり、自己の持って生まれた天職使命を完遂することである。そこには自己の安易なる満足への郷愁はゆるされない」と説かれています。これは、合気道の修行を行う者への1つの精神性を教示したものですが、これこそが合気道が“術”から“道”に生まれ変わった所以ともいわれております。
A:何をもって型稽古と定義付けるかで、型稽古の意味が変わるものの、合気道の鍛練法の本質は型稽古にはありません。合気道の稽古法 が型稽古として見えているのは合気道の技を理解しやすくするために、一連の動作の流れの一部分を断片的に取り出していることにあるものと思われます。ですから、断片的に切り抜かれた技それ自体を、合気道の技の稽古法であると感じるならば型稽古となります。
しかし、合気道の技それ自体は変化の一部分であり、技自体は線形的に連続しているものです。それゆえに、その技は、結果として“環境に適応するための最適な技が選択されたもの”と捉えて修練を積む者にとっては、型稽古では無くなります。つまり、合気道を修行する者の考え方、心のあり方1つで、合気道の稽古法が型稽古にも自然の流れに順応した稽古(実践的)にも変わるのです。
せっかくですので、ここで他の武道と比較して考察を加えたいと思います。
合気道とよく比較される体術には、柔道や空手道があります。柔道ではお互いに袖や襟を掴み合い乱取稽古が行われます。空手道では、お互いに突き・蹴り技を使って組み手を行います。この両武道の動きがダイナミック(動的)に見えることから合気道の稽古法がスタティック(静的)に見え、型稽古と誤解されてしまうかもしれません。しかし、合気道の動きは多彩に変化しますので、型として捉えて鍛錬することは合気道の本質である“自然の動き”でなくなることを、吉祥丸先生は説いております。その所以は「合気道に形もなければ様式もない、自然の動き、これこそ合気道の動きであり、その奥は深遠にして極まりなし」という、開祖盛平翁の教えから来ているのです[2]。
Q:黒帯を取得できるまでの年月を教えてください。また、黒帯取得の心構えを教 えてください。
A:はじめに、段級位を取得することだけが合気道を習う目的ではありませんが、ここでは、合気道を通じて自己変革を遂げる目的で入会する方(熱心に黒帯を目指す方)のために説明致します。
合気道旭川道場(以下、旭川道場と略す)は、「合気道」の代名詞である(公財)合気会(以下、合気会と略す)の公認道場です。 したがって、旭川道場における受験資格基準においても、合気会が規定している基準を遵守することになります。なかでも、定量的な基準である稽古日数や期間は外せません。
旭川道場の稽古日数は週に2回です。また、段級審査会は年に2回実施しています。社会人における合気道は、5級から始まりますので、週2回の稽古を真面目に実施した場合、3年6カ月で黒帯(初段位)を取得することが可能です。
初段は、よほどのことがない限り老若男女に拘わらず取得可能な段位といえます。ただし、合気道を究めることを目的にしている方は、初段より上の段位を目指す必要があります。なぜなら、初段は、体術(徒手技)の基礎と基本を一通り学んだ段階に過ぎないからです。換言すれば、初段は、合気道開祖植芝盛平翁(以下、開祖盛平翁と略す)の理念と技を結びつけて理解するために不可欠な基礎の一部を習得した段階といえます。
合気道は、開祖盛平翁の理念を技として体現してこそ合気道と近似する武道との違いが生まれます。それゆえに、道場長の展示・解説を含む日々の稽古を通じて、合気道の本質に迫って行く必要があります。したがって、合気道の本質に迫るためには、初段取得で満足するのではなく、さらなる目標を見出す必要があります。その第1歩は、弐段位取得になります。
旭川道場では、理論上、初段取得後2年以上で弐段位の受験資格が得られます。ただし、弐段への昇段については、合気会の定める稽古日数(必要条件)の他に、道場長の意向が加味されます。これは、旭川道場に限った慣習ではなく、他の武道や華道・茶道などの世界においても同様の傾向が見られます。
道場長の意向とは、合気道の「心・氣・体」に鑑みて道場長が受験者の実力を査定することを意味します。特に合気道という武道は、開祖盛平翁の考えに基づいて精神性を重んじています。初代道場長は、「『心』の査定については、道場生の合気道に対する熱意・稽古態度・武道を修練する者としての品格と所作・後輩指導意欲・指導者候補としての資質」について人物評価を行っておりました。現在においても、その評価法は引き継がれております。そのため、旭川道場では、弐段位への昇段が1つの関門といえます。
これまでにも、受験資格日数を十分に得られているにも拘わらず、弐段位に昇段できなかった道場生は多々います。残念ながら弐段位という関門を突破できなかった道場生の中には、社会人としてのモラルを欠如しているために、実質「破門」になってしまった元道場生もいます。
また、他道場(札幌)から旭川道場に移籍したある道場生は、他武道では五段位を取得し全国大会においてクラス優勝するほど熱心ですが、合気道においては、昇段を望んでもなかなかに昇段審査の機会を得られませんでした。その道場生は、現道場長の推薦を取り付けたことで参段位へ昇段する審査機会を得ました。その歳月は、述べ10年を要しています。
上述した事実は、合気道の段位は、決して形式や年数だけで取得できるものではないことを裏付けています。同じく、 前出の元道場生のように、開祖盛平翁の指摘する「何ものかを敵とし、何ものかと争う心」[3]に陥ることで合気道の本質に迫ることができなくなります。。
したがって、合気の道で黒帯取得を目指す者は、元道場生を反面教師とし、道場長と指導員の教えを守り、特に初段は「初」の字になぞらえて新たな修行のはじまりと心得る謙虚さを持つことが大切です。
一方、元道場生の言動は、黒帯取得によって驕り高ぶる人格を形成してしまうという逆機能が発動してしまう危険性を示唆します。したがって、合気道に限らず武道の黒帯取得を目指す者は、逆機能を発動させないためにも、日々の稽古を通じて己の魂そのものを磨いていく必要があると言えるでしょう。
脚注
[1]植芝盛平監修、植芝吉祥丸著『合気道』光和堂、1957年、24頁。
[2]同上書、75頁。
[3]同上書、52頁。